腎臓癌の種類と予後

腎臓癌の生存率が気になった。入院中の病理検査の結果までの時間、東間元教授の「腎癌のすべて(2003年)」を読んで、腎臓癌の種類、予後の判定について抜粋したメモです。

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 入院中の東京女子医大では日がな一日やることもなく、東病棟からウォーキングがてら外来棟の「からだ情報館」まで出向いて、 パソコンや病気に関する本をあさって読んでました。まだ、病理検査の結果前だったので、癌じゃないといいなぁ・・・とか、生存率はどうなんだとか、癌の種類はあるのかとか、 そういや嫁は「白モツ」っていってたから、白かったんだろうなぁ・・・とか、「大丈夫。きれいに取れましたよ」といった教授は細胞の色を目視してるんだから、 最悪の結果なら「大丈夫」は言わないよなぁ・・・とかと、もの思いにふけりながら、からだ情報館で見つけた「腎癌のすべて」という本を読みながら書いたノートです。 参考になればと思いここに記しておきます。詳しくは主治医や専門家にお尋ねください。詳細はメジカルビュー社「腎癌のすべて」を読んでみてください。


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Ⅰ 腎臓癌の種類

①腎癌取扱い規約による分類

1 ■良性腫瘍(腺腫)
1.1 ●乳頭状/管状乳頭状腺腫(4%~37%)
   ※淡明細胞から構成されるときは、淡明細胞癌と考えるべき。
   ※遺伝子的異常も乳頭状腎細胞癌に類似し、癌の前駆病変である可能性が高い。
  
1.2 ●オンコサイトーマ(3%~5%)→東京女子医大では1%(マホガニーブラウン色)
  
1.3 ●後腎性腺腫
2 ■悪性腫瘍
2.1 ●淡明細胞癌(70%~80%) ※浸潤性を示すこともある。
2.2 ●顆粒細胞癌
2.3 ●嫌色素細胞癌(5%)→東京女子医大1.8% ※淡明細胞がんに比べ予後が良い。
2.4 ●紡錘細胞癌(内腫様癌) ※最も異型度が高い→淡明細胞癌の5%
2.5 ●乳頭状腎細胞癌(10%~15%)
3 ■集合管癌(0.4%~2.6%)

②組織学的異型度による分類

①異型度Ⅰ (Grade1;G1)
②異型度Ⅱ (Grade2;G2)
③異型度Ⅲ (Grade3;G3)
④異型度判定不能 (GradeⅩ;GⅩ)

③WHO分類 1998年

1.2 Malignant carcinoma(悪性腫瘍)
1.2.1 Renal cell carcinoma(腎細胞癌)
1.2.1.1 Clear cell carcinoma(淡明細胞癌)
1.2.1.2 Granular cell carcinoma(顆粒細胞癌)
1.2.1.3 Chromophobe cell carcinoma(嫌色細胞癌)
1.2.1.4 Spindle cell carcinoma(紡錘細胞癌)
1.2.1.5 Cystassociated renal cell carcinoma(嚢胞随伴性腎細胞癌)
1.2.1.5.1 Renal cell carcinoma originating in a cyst(嚢胞由来腎細胞癌)
1.2.1.5.2 Cystic renal cell carcinoma(嚢胞性腎細胞癌)
1.2.1.6 Papillary renal cell carcinoma(乳頭状腎細胞癌)
1.2.2 Collecting-duct carcinoma(集合管癌)

Ⅱ 予後を反映すべき与件(分類)

予後判定に考慮される主な分類手法

●異型度+腫瘍型 → 同異型度でも嫌色素・乳頭状は良好、集合管は不良。
●発育様式
 → 膨張型(expansive type)は予後良好のものが多い
 → 浸潤型(infiltrating type)は予後不良のものが多い
●組織学的浸潤増殖様式 ①INFα ②INFβ ③INFγ
●病理組織学的TNM分類
●その他の分類
※Kovacsの分類 ※Thoenesの分類 ※Fuhrmanの分類 ※AFIPの分類 ※吉田らの分類

◆進展度 UICC(Union Intenationale Contre Le Cancer)によるTNM分類

T-原発腫瘍
TX 評価不能
T0 原発腫瘍を認めない 
T1 7.0cm以下で、腎に限局する
   T1a 最大径が4.0cm以下
   T1b 最大径が4.0cm超7.0cm以下
T2 7.0cmを越え腎に限局する
T3 主静脈内に進展or副腎浸潤or腎周囲脂肪組織浸潤butGerota筋膜を超えない
T4 Gerota筋膜を超えて浸潤


  
N-所属リンパ節
NX 評価不可能
N0 転移なし
N1 1個の所属リンパ節転移
N2 2個の 〃
M-遠隔転移
MX 評価不可能
M0 遠隔転移なし
M1    〃  あり

◆Stage-病期分類

Ⅰ期    T1    N0    M0
Ⅱ期    T2    N0    M0
Ⅲ期    T1    N1    M0
   T2    N1    M0
   T3a N0、N1     M0
   T3b N0、N1    M0
   T3c N0、N1    M0
Ⅳ期    T4 Nに関係なく    M0
Tに関係なく    N2    M0
        T、Nに関係なく    M1

◆予後判定

癌特異的 5年・10年 生存率 (東京女子医大1979年~2000年、516例)
 5年  10年
・StageⅠ  99.2%  97.5%
・StageⅡ  86.4%  86.4%
・StageⅢ  74.6%  59.7%
・StageⅣ  21.0%  12.0%
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